放射線科医ラジ男のノート

放射線診断専門医 ラジ男の備忘録です。画像診断関連の話題や論文を紹介します。

経皮的肺生検時に穿刺側を下にすると気胸のリスクは減少するか?

www.ncbi.nlm.nih.gov

 

目的:

CTガイド下肺生検の手技中に穿刺側を下にする側臥位をとってもらうことで気胸が減るかどうかを調べること。

方法:

2013年11月から2017年8月の間に516人が17Gあるいは18Gの生検針で生検を受けた。全体の気胸の発生率とドレナージを要する気胸の発生率を穿刺側を下にする群(グループA)とそれ以外の体制で行う群(グループB)に分けて比較した。

患者背景と病変の特徴、生検手技内容を含む気胸の危険因子について線形回帰分析および重回帰分析を行った。

結果:

グループAとグループBで気胸の発生率は変わらなかった(21/94 [22.3%] and 95/422 [22.5%], respectively; p = 0.97 )。ドレナージを要する気胸の発生率も変わらなかった(6/94 [6.4%] and 28/422 [6.6%], respectively; p = 0.90)。

重回帰分析の結果、気胸およびドレナージを要する気胸の発生に関する独立した危険因子は穿刺ルートの長さ(p < 0.001 and p = 0.02, respectively)、穿刺ルートに沿った気腫の存在(p = 0.01 and p < 0.001, respectively)、生検針の葉間の通過(p = 0.04 and p < 0.001, respectively)であった。

結論:

後方視的評価の限界を考慮して、気胸の発生率が減少していないように見えるにもかかわらず、重度の喀血患者における対側肺の保護を含む穿刺側側臥位の利点が存在する。

 

感想:

あまり同意できない内容の論文です。Figure1 で左上葉肺癌の穿刺例が示されています。通常なら仰臥位で最短距離である胸骨脇から刺すはずですが(穿刺ルートの長さは気胸の危険因子なので)、側臥位で行っています。後方視的検討なので穿刺経路の選択について明確な基準がないのですが、CTのガントリーの制約で横から刺すのは得策ではないし、結果的に穿刺ルートが長くなっています。結論では喀血時の対側肺保護に有用と書いてありますが今回の研究では検討していない項目で言い過ぎです。肺気腫がひどくて気胸が必発であるような患者で、なおかつ気胸が起きてもどうしても検体が必要な状況ではこのように穿刺側を下にすることはあるかもしれません。

 

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